Cross Talk6

最大限のリスペクトと、
最大限のサンキューを。
環境

MEMBER

  • 松崎 佳奈 先生
    助産師
  • 砂田 美希 先生
    新生児科医
  • 倉﨑 昭子 先生
    産科医長
  • 吉川 昂成 先生
    麻酔科医

グレードAの一声で、全員ダッシュ。

いつもこのメンバーで仕事を?
倉崎

毎回メンバーは変わりますね。帝王切開の時が、いちばんオペ室の人数が多いかな?産婦人科医は3名程度、麻酔科医は1~2名、助産師が1名、オペ室のナースが2名、赤ちゃんの状態が心配な時は、砂田先生のようなNICUの先生にも来てもらいます。

砂田

倉崎先生のご説明の通り、私たち新生児科医もオペに立ち会うことがあります。

吉川

私は麻酔科医なので、手術の間ずっと枕元にいます。麻酔で気持ちが悪くなるケースがあるので、その都度すぐに治療ができるように。帝王切開や無痛分娩のときは、麻酔科医もセット。逆に自然分娩の時は出番はありません。

松崎

私は助産師なので、自然分娩の時は産科医の先生が見守るなか、赤ちゃんをとりあげて胎盤を出すところまで行います。帝王切開の場合は、赤ちゃんが生まれた後のケアができるように後ろに控えています。病棟にいる時から妊婦さんとずっと顔を合わせているので、出産の前に手を握ったり、話しかけたりして妊婦さんが緊張しない雰囲気を作るのも、助産師の大事な仕事です。

倉崎

私は産科医なので、正常分娩が異常になったときが出番で、助産師さん、麻酔科の先生、NICUの先生方にいつも助けてもらっている立場です。

チームワークが発揮される瞬間は?
倉崎

グレードAの時ですね。

吉川

その一言で、全員が即座に動きますから。

倉崎

グレードAになるのは、赤ちゃんの救命や、母体救命のために緊急帝王切開が必要な時。特に胎盤早期剥離の時は、母子ともに命が危ない。産科医としては、母体と赤ちゃんに全神経を集中させないといけないので、輸血の入力やら、手術室の入室手続きやら、他のことには正直構っていられない。そういう手続きをすべて省いて、救命のために迅速に動くのが、聖マリアンナのすごいところ。以前働いていた一般病院で緊急帝王切開のシステムをつくるのに苦労した経験があるので、当院のチームワークはさすがだと思います。

吉川

グレードAの時に緊張しないため、2~3ヶ月に一回は当たり前のように、シミュレーションをしてますから。搬送からオペ室まで、声を掛け合って移動して手術台によいしょっと乗せるところまで本番さながら。そういう教育が、当院は行き届いているのかなと思います。

倉崎

この間は、グレードAのコールがかかってから、15分で赤ちゃんが生まれました。早く取り上げられるに越したことはないので。

松崎

患者さんが一番不安に思っていると思うので、患者さんに寄り添いながら全員が最善を尽くすという。

一同

まさにその通り

産ませるけど、「産ませ屋」じゃない。

他にどんな連携プレーがある?
倉崎

最近でいうと、無痛分娩もそうですね。安全な無痛分娩のハードルって結構高いんですよ。夜間陣痛が来ている時、麻酔科医が不在だと無痛分娩の成功率は下がってしまう。結果、無理な分娩誘発が増えてしまったり、合併症が増えてしまったりする。自然陣痛に無痛を混ぜるのが、分娩進行不良にならない一番いい形なんです。当院が最初からその体制でスタートできたのは、24時間体制にしてくれた麻酔科の先生方のおかげ。

吉川

「こうした方が患者さんが楽なんじゃない?」という発想で動いている、というだけなんですけど(笑)。

倉崎

「患者さんのために」という意識は、共通してありますよね。NICUの先生方にも、いつも頭が上がらないんです。NICUに受け入れてもらえないと、悪い状態に転がってしまうことも結構ある。あまりにも早く生まれてしまうと、産科医としては、特に早産の赤ちゃんとか、分娩を決めるときは、自分の判断が正しいか、不安でいっぱい。先日も、立て続けにそういうことがあったんですが、いつもNICUの先生方に「いいですよ!」と言ってもらえる。

砂田

無理に週数を伸ばしても赤ちゃんにとってもよくないと思うので。産科の先生とご相談しつつ、落とし所を決めていく感じですね。

倉崎

私たち産科医は、産ませ屋だと言われることがあるんですよ。産ませて終わりでしょ、と。でも、そうじゃない。赤ちゃんにとっても母体にとっても負担が最小限になるベストを見極めるのが仕事だと思ってます。産ませるだけ、とは全く思っていません。

砂田

うちの産科の先生方は、みんな赤ちゃんのことを気にかけてくれますよね。よその病院の先生は産んだ後は興味がないなんて話も聞きますけど、「どうでしたか?」とNICUまで様子を見にきてくれたり、周産期カンファの時も興味深く話を聞いてくれる。私たちも嬉しいし、ありがたいなと思います。

倉崎

やっぱり、赤ちゃんが教えてくれることってたくさんあるんですよね。「感染長引かせちゃったかな」と気になっていた子がCLDになっていたりすると、やっぱりそうか、とか。生まれた赤ちゃんの転機を絶対に無駄にしないというのは、みんな思っていると思います。

吉川

僕ら麻酔科医も一緒ですね。オペが終わった後、その時の判断が正しかったかどうか、その結果がどうなったか。自分の目で見て確かめて、次に繋げなきゃいけないといつも思っています。

助産師さん第一、で考える。

お互いのプロ意識、どんな時に感じる?
倉崎

キャリアが1~2年目の助産師さんも、モニタを読めて当たり前。お姉さん助産師さんとの会話を聞いていると、「その質問難しいんじゃない?」という質問にも、しっかり答えているし。助産師さんのプロ意識が総じて高い大学だと思います。

松崎

当院は研修も多く、勉強の機会がたくさんあるので、常に新しい知識を吸収してレベルアップするように、というのはみんな意識していると思います。

吉川

一番妊婦さんと接するのはやはり助産師さんですもんね。僕は研修医の時に産婦人科を長めに回っていたんですけど、「こういう所見があるから、こうだと思います」と必ずアセスメントをつけてくれるので、助かっていました。

松崎

助産師目線で「ちょっと違うんじゃない?」と思うことがあっても、話しかけにくいと先生との間でコミュニケーションエラーが起こりやすい。そういう意味で、マリアンナの先生方は、みんな話しかけやすいから、私たち助産師も働きやすいんです。

倉崎

産科の長谷川部長がいつもおっしゃるんですけど。通常のお産において一番大切なのは、助産師さん、次に麻酔科の先生、その次に合併症を診てくれる先生、産科医は一番最後なんです。お産は助産師さんのもの。異常の度合いに合わせて、医師が介入すればいい。医師のせいで助産師さんが働きにくくなるのはすごく嫌なので。上司の考え方には全面的に賛同しています。

吉川

この仕事って専門性がすごく求められる仕事だと思うんです。全員が自分の持っていない専門の知識、スキルを持っているわけだから、僕は必ず敬語で会話したいんです。相手へのリスペクトがないとだめですよね。

倉崎

若い先生は、助産師さんに教えてもらう立場でもありますし。偉そうになんかしてる場合じゃない(笑)。あと、新生児科医の先生方のレベルも総じて高い。クオリティが均一なので、今日誰々先生だからちょっと心配、なんてことは絶対にない。

砂田

倉崎先生、今日みんなのことすごい褒めてくれますね(笑)

倉崎

そりゃそうです。助産師さんのキャパ、NICUの先生のキャパ、麻酔科の先生含め、他科の先生方の理解があって、初めて私たち産科医は、産科という学問にピュアに向き合えるので。マリアンナの場合は、「その症例うちでみれません」ということもない。純粋に病態に沿った医療をするために、みなさんベストを尽くしてくださるから本当に感謝、感謝なんです。

吉川

倉崎先生からすごくいいコメントいただきましたので、これ以上付け加えることはありません。お後がよろしいようで・・。