Course2

講座|婦人科
長期的なQOLを考えて、
長く寄り添う。
大原 樹TATSURU OHARA
大学病院婦人科副部長

患者さんに教わったこと。

医師になって、20年近く当院に勤務しています。腫瘍専門医になり、現在は指導医の資格も保有。悪性腫瘍の患者さんを数多く診てきました。進行癌を治療する機会も多く、思い通りにいかないことも少なくありません。けれども、長期的な治療の末に元気になられて、予後も合併症などなく、外来に訪れる患者さんを見ると、この仕事のやりがいを感じます。いちばん長くお付き合いが続いた方は、研修医時代に診ていた60代の患者さん。予後が悪いとされる腹膜がんだったのですが、再発を繰り返しながらも治療でがんは寛解。10年以上もお元気な様子で通院されていました。患者さんの回復を見るのが、医師として何よりの喜びだということをその方が教えてくれたように思います。

長期的なQOLを考える。

診療を行う上で気をつけていることは、患者さんのお話をよく聞くこと。それは、男性医師だから、女性医師だから、という以前に医師として当然のことだと思います。問題点を聞き出して、真摯に対応していれば、信頼関係を築くことができる。むしろ、男性医師の方が話しやすいという声をいただくこともあります。婦人科腫瘍医として求められるのは、傾聴力や手術の技術だけではありません。術後のフォローも、非常に重要になります。婦人科の手術の場合、骨盤のリンパ節を取る関係で、術後、下肢に浮腫が認めることがあります。40歳未満で卵巣を摘出した方には、骨粗鬆症や動脈硬化など、予後の長期的なQOLを考えていく必要があります。若い医師の皆さんには、さまざまな症例をみながら、知見を深めていただきたいと思います。

ほどよい規模感で、バランスよく成長できる。

県内の同規模の病院と比較すると、当院は婦人科腫瘍医が5名在籍していることもあり、医療体制が充実していると思います。腹腔鏡の技術認定もそのうち3名が取得しており、世の中のニーズにあった治療ができていると感じます。どちらかに偏ることなく腹腔鏡手術と、開腹手術の両方ができるのも魅力でしょう。また、放射線治療や、抗がん剤治療の症例も数多くあります。私自身、大学院で抗がん剤の感受性試験をテーマにして論文を書いたこともあり、抗がん剤の臨床研究は興味のある分野。当院としても、抗がん剤の臨床試験や治験などに参加し、最新の治療を取り入れることに積極的に取り組んでいます。大きすぎず、小さいすぎず、ほどよい規模感で、数多くの症例を経験することができる。当院は医師としてのスキルをバランスよく磨くことができる場所だと思います。