Women's Healthcare 女性ヘルスケア

いつまでも女性が元気で笑顔でいるために、幅広い知識を持って女性のライフサイクルと健康課題に取り組んでいます。ホルモン補充療法・漢方治療・骨粗鬆症治療などを適切に組み合わせた更年期治療、がん治療による早発閉経に対するオンコヘルスケア外来、骨盤臓器脱と下部尿路症状の改善を目指すウロギネ外来など、専門性の高い医療を提供しています。

女性ヘルスケアの診療風景
更年期治療外来

更年期治療外来

「閉経」の定義は最終月経から1年経って初めて、1年前が閉経だったということになります。ホルモン検査では閉経する時期は予想できませんし、閉経の定義としては月経の有無の方が重要です。「更年期」とは閉経前後5年と一般的に言われ、誰でも女性であれば訪れる時期です。その時期に女性ホルモンは揺らぎはじめ、出現する不調を「更年期症状」と言います。

その更年期症状により、日常生活に支障をきたすレベルで障害が出てくることを「更年期障害」と言います。更年期症状の症状は、ホットフラッシュ、関節痛、動悸、めまい、イライラ、落ち込み、倦怠感などが多岐にわたります。「更年期障害」と診断することは決して簡単ではなく、基本的には何か疾患が隠れていないかを除外してからの診断となります。ただ、あいまいな症状で周りの人に理解してもらいにくく、我慢して日常生活を送っている人も少なくありません。女性は「閉経」が体に大きな変化をきたす時期であることは間違いありません。様々な体調不良が出てきた時、症状が多く、今まで当たり前にできていたことができなくなることに混乱している人も多いです。まずは、ご自身で、月経の周期、症状の経過、頻度、誘因などを整理していただき、近医婦人科にご相談していただければスムーズかと思います。女性ホルモン補充、漢方薬などの治療で症状が改善することも多く、更年期の不調を理解してくれ応援してくれる人をみつけることはとても心強いはずです。

オンコへルスケア外来

オンコへルスケア外来

当院では2019年より、治療後ヘルスケア外来を立ち上げております。この外来はがん治療後に、卵巣機能を失った方々を対象にしております。婦人科がんがメインですが、その他のがん治療で卵巣機能が廃絶した方々もいらっしゃいます。

外科的閉経とは、閉経前に手術により両側卵巣の切除を施行し、閉経状態となることです。外科的閉経に至るとほてりやホットフラッシュなどの血管運動神経症状や不眠・不安などの精神神経症状の卵巣欠落症状が出現し、その程度は自然閉経よりも重度であるとされ、生活の質(Quality of Life : QOL)を大きく低下させる原因となりえます。卵巣欠落症状が出現するタイミングは個人によって様々ですが、血管運動神経症状は術後6ヶ月から有意に増加するという報告があります。また、症状としてわからなくても、抗動脈硬化作用のあるエストロゲンが低下することにより、脂質異常症の発症リスクは増加し、さらに心血管疾患の増加も報告されています。その他、急激なエストロゲンの低下は骨量低下をもたらし、将来の骨粗鬆症が懸念されます。生命予後に関しては、45歳未満で両側卵巣摘出してかつホルモン補充療法を未施行の患者さんの寿命は有意に短いという報告があります。これらは、女性ホルモンの補充を行うことで、ある程度の改善が期待されます。
精神的、肉体的に苦痛を強いられるがん治療において、さらに更年期症状が負担とならないよう、ホルモン補充療法や漢方治療などを用いて、できる限り苦痛を取り除けるよう努力しています。

骨粗鬆症

骨粗鬆症

「骨粗鬆症」という言葉は聞いたことのある人は多くいると思いますが、自分が骨粗鬆症かもしれないと心配になったことがある人はそれほど多くないのではないでしょうか。超高齢社会の現在、骨粗鬆症患者数は1500万人以上いるとされ、そのうち約7割が女性です。骨粗鬆症は自覚症状に乏しく、腰椎や大腿骨などの骨折を認め、痛みが出た時点で、初めて骨粗鬆症と診断され、治療を開始する人が多いのです。

現在、大多数の骨粗鬆症患者が未治療です。骨粗鬆症の主な原因は女性ホルモンの欠乏と加齢と言われており、女性の場合は閉経後から急激に骨密度が低下します。女性の骨粗鬆症有病率は60代で5人に1人、70代で3人に1人、80代では2人に1人と言われています。日本女性の平均寿命は87歳を超え、長寿であることは周知の事実です。しかし、女性の健康寿命は約75歳と、約12年と差が開いています。超高齢化が急速に進む日本にとって、生活の質を維持し、社会保障制度を持続するために、この差を縮めることは必須です。65歳以上の女性において介護が必要となった原因の1位は認知症、2位は転倒・骨折です。女性は閉経後、骨密度の低下とともに筋力も低下します。骨粗鬆症患者は早期治療介入することで、ある程度の骨折予防が可能です。大腿骨近位部骨折においては単に生活機能を低下させるだけではなく、死亡率を上昇させる死に直結した骨折です。川崎市では40歳から70歳までの女性は5年ごとの節目の年に骨粗鬆症検診を受けることができます。2015年の骨粗鬆症検診率の全国平均は約5%、神奈川県はワースト3位の1%以下です。骨粗鬆症財団は骨粗鬆症検診率が低い地域ほど大腿骨近位部骨折が多く、要介護率が高いと結論づけています。骨粗鬆症治療の重要性から当院では2024年に骨粗鬆症センターを立ち上げました。まず、症状がなくても、骨粗鬆症検診を受けてみましょう。健康寿命が延ばせるかもしれません。

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