Cross Talk7

判断も治療も手術も、
ぜんぶ自分次第。
分院

MEMBER

  • 岩端 秀之 先生
    産婦人科医長
  • 永澤 侑子 先生
    婦人科医長
  • 遠藤 拓 先生
    婦人科医長

分院は、誰もが通る分かれ道。

みなさんはいつ、なぜ分院へ?
永澤

去年の10月から東横病院で婦人科を久しぶりに立ち上げることになり、スターティングメンバーとして働いています。

岩端

僕の場合は、去年の4月から川崎市立多摩病院に行っています。その前にシカゴに2年留学をして臨床から離れていたこともあって、臨床に慣れるために行かせていただいている感じです。

遠藤

僕も同じですね。北海道大学に国内留学をしていた時期があり、臨床経験が足りていなかったので、「外の病院でオペをしてこい!」という感じで、半年間、教授から送り出されました。その後いまの横浜市西部病院で働いているんですが、一般的に市中病院はがんもやるし、婦人科もやるし、産科もやるし。オールラウンドなので、そういうところは面白いですね。

永澤

大学でいきなり大きい手術を執刀することはできませんから若い学年の医師にとっては自分が執刀できるチャンスでもあります。専門医資格取得のための必要手術症例をカバーするためにも分院は、だいたいみんな一度はいくよね?

岩端

ですね。半年から1年くらいは、行くような気がする。あらかじめ、声がかかる人もいるし。

遠藤

僕の場合は、結構急でしたけど(笑)。

永澤

一度も外に出たことない人は、いないと思います。

分院と本院、どう違う?
遠藤

本院と比べると、分院は人数が少ないので、一人にかかってくる比重が全然違います。毎朝カンファレンスでヨーイドンで集まって、みんな一斉に外来や手術室に散っていく感じ。連携プレーじゃないですけど、少人数だからこそ力を合わせている感じがあります。オペの時も、本院なら研修医の手も借りられるけど、分院の場合はそうは行かない。手が足りない時にどうやるんだ?という頭の使い方は要求されます。

永澤

分院だと主治医になれるというのが、いいところだと思います。大学の場合は、上の先生について治療にあたるので。

岩端

ある程度一通り自分で判断して、自分で治療方針を決めて、手術なり治療なりができるので、とってもやりやすいと思います。

永澤

ただ、分院にいると大学病院にも戻りたくなると思います。というのもその道のエキスパートは大学にいるので、その下で学びたくなります。大学で学んで、分院で実践しての繰り返しが一番ちからになると思います。両方を経験できるのは大学病院ならではのメリットですね。ずっとひとつのところにいると飽きますし(笑)

岩端

診療の観点で、分院は外来が専門分野に分かれていないのも分院の特徴かもしれません。本院や西部病院は産科外来を設けて中期以降の妊婦さんの外来が分かれているけれども、多摩病院の場合は主治医のもとに妊婦さんも、婦人科患者さんもバーっと同じ枠に予約が入っていて、みんな一緒に診ています。

遠藤

子宮脱もあります?

岩端

ありますあります。いろんな患者さんが来ます。

永澤

比較すると大学の方が、症例も重たいものの方が多いよね。合併症がたくさんある人や、がんの終末期の患者さんもいるし、週数が若い妊婦さんもいるし。他の科との連携が強く必要な場合や社会的サポートが必要な場合は大学のほうが対応やすいですね。

遠藤

永澤先生は、引きが強いから(笑)。

永澤

私が当直の時は、症例の重たい患者さんを引き寄せてしまうという(泣)。研修医の頃から有名で、他の科の先生から「今日当直?」と廊下ですれ違うとあらかじめ確認されるくらい。

遠藤

永澤先生がピザを頼んだ時は、荒れるっていうジンクスありますよね(笑)。

医師は、自分ひとり。

分院のいいところ、もっと教えてください。
岩端

西部病院は地域周産期センターなので、搬送症例も真っ先に連絡が来たりして、受けた方がいいのか、他に回した方がいいのか、大学と違って一人で当直となるのでそういう自分で判断しないといけない。もちろんNICUの先生と相談の上ですけど、責任感は生まれますね。

永澤

本院にいた時は、女性医学とか更年期の方はあまり診ていなかったんですが、東横病院は土地柄、そういう患者さんも多いので、新たに学会に入りました。色々勉強しようかなと思うきっかけになりました。以前、西部病院で働いたこともあるんですけど、その時初めて産科の面白さに気づきました。それまで腫瘍一本で来ていたから、産科の魅力に気づけなかったんですが実際にやってみたら面白くて。大学にずっといたら産科に触れる機会はなかったと思うんですよね。そういう意味で、分院に行くと視野が広がると思います。

遠藤

自分が試される場所ですね、分院は。大学病院だと上司に相談するのが当たり前。頭のどこかで、上司が最後ケツを拭いてくれる、という意識があるけれど、分院の場合は、そういうわけにはいかない。分院で働き出して間もない頃、「お前が主治医だろ、責任を持ってやれ、甘えるんじゃない」とお叱りを受けたことがあります。主治医の重みというのを教えてくれたのが分院。その患者さんにとって、医師は僕しかいない。やるしかない。そういう覚悟は、つきましたね。

岩端

経験が豊富にないオペでも、ある程度やらなくちゃいけない時がある。でも、それを一度乗り越えられれば、大きなステップアップになる。僕も、急遽産休に入った先生が組んでいた手術を代わりにやったことが、一つ自分の自信になりました。子宮筋腫の手術だったんですけど、手術後に患者さんから「症状がなくなりました」と喜んでもらえて。

永澤

忙しいし、プレッシャーはあるけれど、自分の症例が増えるのはメリットですね。

岩端

あと・・・何かありますかね?

永澤

マリアンナのいいところは引越ししなくていいところ(笑)。どの分院も本院から車で通える距離なので、家庭のある人にも優しい。

遠藤

働き方も、オンオフしっかりしてますよね。当直と日中の仕事がはっきり分かれていて。

永澤

大学は教育に臨床に研究に、と多岐にわたっているけれど、分院の場合は、基本的に臨床に専念できるしね。

遠藤

僕は分院に来てから、他科の先生と話す機会が増えた気がします。垣根がないから、相談がしやすいし。

永澤

医局が総合医局(他の科の先生と同じ部屋ということ)っていうのは分院、あるあるですね。仲良くなれるので依頼もしやすくなります。

本院あっての分院。分院あっての本院。

本院との連携、ありますか?
岩端

連携は・・・ある?

永澤

私は(本院で)当直してます。東横病院のバックアップを本院にお願いしている兼ね合いで。

遠藤

え、当直してるんですか?

永澤

してるよ。ぶつぞ(笑)。まあ、それはさておき、分院で困った時に、ピッチですぐに相談できるのは助かりますね。産科でも、婦人科でも、エキスパートの先生が本院にいらっしゃるので。

岩端

多摩病院は本院と地域が一緒なので、搬送しなきゃいけない時や、紹介が必要な時に、本院の他の先生にお願いすることが多いですすね。

永澤

東横病院は常勤医の人数の兼ね合いで当直が毎日じゃないので、そのバックアップを大学にお願いしています。連日当直を置くのは、マンパワーがないとできないことですし、いざというときの安心感もありありがたいなと思います。

遠藤

西部病院は、スペックとしてはある程度受け入れ体制があるんですが、重症ながん患者さんの場合は本院に送ったりすることもありますね。

永澤

胎児エコーも回ってもらえるよね?例えば、胎児奇形が疑われる時とか、大学の周産期の先生が超音波をしに分院に来てくれて、一緒に診てくれる。そういう意味で、本院との距離感は感じないです。

最後に、分院のアピールをお願いします。
岩端

多摩病院のいいところは、分院のなかでも一番本院と近くて、相談がしやすいところでしょうか。分院で働くと、ある程度裁量を持って自由にできるので、ぜひみなさんにも経験していただきたいです。

永澤

東横病院は、いま腹腔鏡の件数が伸びているので、ここ2~3年で、技術認定医の修練施設になれるといいなあという思いがあります。いま、勤務している2人のどちらかが認定医を取れるように頑張っているところ。これを読んでくれている皆さんが来る頃には、さらにパワーアップしていると思います。

遠藤

西部病院の近隣は、緑が豊かで癒されるのでおすすめです(笑)。周産期センターとしての歴史は古く、地域からの信頼もある。主治医として責任をもって、オペをたくさんできる。そういうところは魅力だと思いますね。研修医の先生も、西部病院なら即戦力だと思います。